ジャンプシュート

資金力のあるビッグクラブが欧州サッカーを制する

強いクラブが勝つのか、勝ったクラブが強いのか。いつの時代も繰り返される議論ですが、こと資金力でいうと、サッカーはお金のあるクラブが強いといって9割方間違いないようです。

世界のビッグクラブと呼ばれるチームを見ると、よく分かります。イングランドやスペインといった超一流選手が集うリーグでは、ごくまれな例外を除いてビッグクラブがほとんどのタイトルを総なめにします。各国を代表する超一流選手たちはリーグの各クラブに大勢いるのに、毎年終わってみれば優勝しているのはビッグクラブだけ。そんな構図が長い間続いているのです。

そこには、選手の移籍が関係しています。サッカーはあらゆるスポーツの中で、移籍が非常に多いのが特徴です。その選手の移籍には多額の移籍金(正確には違約金)が発生する仕組みになっています。

ビッグクラブ以外で選手が活躍すると、その選手はビッグクラブが大金を用意して獲得します。選手はステップアップになるし、所属クラブは巨額の移籍金が入るので、申し出を断りません。ビッグクラブには常にスターが集まり、観客が途切れず、放映権収入やスポンサー契約料が入って、その収入がまた次の選手獲得に使われる。こうしたビッグクラブ中心の経済構造が出来上がっていて、それ以外のクラブが割って入る余地がないために、”資金力のあるクラブがいつまでも強い”のです。

これが国内だけの循環なら、見る側もいずれは飽きてしまうでしょう。しかし国内では無敵のビッグクラブも、世界や欧州の舞台で戦うと打ち破られることがあるのです。これがために、ビッグクラブの資金力に任せた補強に人々は熱狂し、スターが居並んだビッグクラブ同士の対戦を手に汗握って見守るのです。

ビッグクラブはいわばその国の「リーグ代表チーム」で、資金力がある分、お金を有効に使った補強が常に要求され続けます。お金をわがままに使う余裕はなく、常に強くあらねばならないプレッシャーと背中合わせの資金力と言えるでしょう。

日本のJリーグは、欧州のような突出したビッグクラブがないために、優勝争いは毎年顔ぶれが変わります。広い世界にはJリーグのような、特定のクラブに資金が集中しないリーグもあって、欧州とは一味違う多様な楽しみ方が出来るのが、サッカー界の魅力のひとつになっています。